― 書庫 ―[部屋を出たヴィンセントは書庫へ赴き、自らの指先を突いた血を使って文をしたためた。 『聖女殿 この使者《コウモリ》について来るか、その場でお待ちください。 公弟ヴィンセント』人の耳には捕えられない領域の音を発して小さなコウモリを呼ぶと、丸めた便箋をその足に掴ませる。誰に届けるべきか告げ、駄賃に、自分の指先の血を与えた。] 誘われても彼女に触れてはいけないよ。 帰ってこられなくなる。