― 図書館・温室(ユーリエ視点) ―
[シメオンとリュカのバグ騒動が無かった事になった図書館。
今日も職員達は本の管理に忙しく働いていた。
――ユーリエ、泣いてるの?
そう声をかけてきたのは、ユーリエの同僚であるコンスタンツェだ。
気付けば目に溜まっていた涙を拭い「どうしてかな?」と、困ったように笑い返す。
ただ忘れな草を見ていただけなのに、理由もなく胸が苦しかった。
いつもは中庭で休憩をするのが好きだったが、最近はなぜか温室に惹かれてよくここを訪れる。
……と、コンスタンツェの持つ一冊の本に目をやり、ユーリエは本の題名を尋ねた。
――ああコレ?今の私のマイフェイバリット萌え本よ!
よく分からない単語も多いが、持っているのはヴェルナーという男性の生涯を綴った本らしい]