[窓辺に近づき、そこに力無く横たわる小さな赤羽を両手で掬い上げた。
死んでいる。冷たく事切れたその小鳥には見覚えがあった]
[鮮やかなスカーレット、赤羽の胸をした小鳥>>0:110
少女が何時も鳥籠と共に大事にしていた小さな友人。
名前は確か、ピッピと云われていた]
[この小鳥が、数日も前に、籠から放たれていた事も。
なのに、何故か既に事切れ、今自分の掌で横たわる事も知らない]
[鳥。赤い羽。羽と聴いて、ふと思い出したのは昨日のリーザの言葉。
黒い羽。白く風花の中にあれば何時か覆い隠されてくれる、少女の羽]