― 平原 ―
[己の声に従う者はどれ程か。
そこまで見ている余裕は無かった。
だが、自身の背後、「御武運を」という声の後に徐々に遠退く足音に気づけば微かな笑みが浮かび零れる。
やはり退くことは出来ないと残る兵も居るようだが、命を賭した選択の末なら他者が口出しは出来ぬこと。
己とて、此処を生きて切り抜ける難しさは分かった上で居るのだから]
『やはり、きたか…!』
[敵の長は、見る目にも当然長けている。
>>95真っ直ぐにこちらへと突き立てられる一刺しに、避けるは叶わないと悟る。
だから、あえてこちらから刺さりに動いた。
貫かれた肩、盾を捨てた手で槍を掴めば少し、けれど貴重な時間。
敵の長の動きを留められると信じて*]