[応接室の扉を抜けると、思い出したように振り返り、ダーフィトへ声を掛ける。先ほど顔を見た際は、船に関する報告が頭を占めていた為、渡しそびれるところだった。]
遅くなりましたが、カメラの受領書をお渡しします。
責任を持ってお預かりしておりますので。
[自分に割り振られた部屋、机の鍵の掛かる引き出し。それは上官も知らないだろう。鍵は荷物の内ポケットに仕舞われていた。]
…残念です。
[写真を見たい(>>0:284)、と言った言葉に嘘は無かったのだろう。私情が零れたのは船の未着が、張り詰めた気の落とし所を失い綻びが出た為か。そのまま地階へ続く廊下へと姿を消した。]