―東方・森林―
[東側に広がるのは鬱蒼と生い茂る森。
人の手は入っていないように見えるその中は、木の気が色濃い。
生命力に満ちた草木が、大地にしっかりと根を生やしていた。
結界に覆われた今は、只の鳥獣は眠りについているのだろう。
生き物の鳴き声などは聞こえてこない。
地面と草葉を踏みしめる音だけが辺りに響き渡り。]
うーん。
やっぱり、木の気が強いですねぇ。
[少しばかり圧倒されながらも、そんな言葉を零して。
ふと、微かに木の葉の擦れる音がして、女は周囲に目を走らせる。
それは風によるものか、それとも。**]