[それは、思考や言動を似せる為であるのだが、親以外に識別が効かなくなる程となると哲学的にはそうも言えなくなる。]
[「王子様は変な人だ」、と。
そう付け足して言っては、「約束したからな」、と、秘め事のように小さく笑いながら返されるのに釣られて笑い、銘々別々の方へ飛び出した。
同じように白い鷹を連れ、同じように未だ火に煽られず、健在の建物の屋根を伝って疾るのは国外に出るべくしてだった。
それでも、青年の心持ちは複雑だった。
希くは、 “本当の” 王子の方に生きていてほしい、と思うのは仕方のない事だ。
影武者なんてものは、王子を生かす為の影でしかないのだから。]