…
[馬上、ヒトガタは一度天を振り仰いだ。
青い光。頭上から人間達を襲う死霊の炎。
川を越え、水滴と腐臭を撒き散らしながらかつての味方と武器を交わらせんとする、動く屍体達。
死者はそれ以上死なない。実入りがそれだけ目減りした戦場になるだろう]
……お前達、存分に暴れるがいい
ゆけ!
[ごく滑らかに凛と響いた声に従い、曲がりなりにも指揮の下にあったコボルトの隊は喚声をあげて各個突撃を始める。
この混戦、単体であっても強者ではない卑小な亜人達は、魔物戦に慣れた王国軍に次々と討ち取られながらも、勢いだけで小隊の統制を崩し、敵軍の前線を侵食しようと進んで行く]