[睨むようにも真っ直ぐに見上げてきた表情を思えば、状況を看破されたことは窺えた>>62。
状況から類推できる材料なら多く揃ってもいる。
なにせ、先ずファミルが狙ったのは、
指揮官が駐在していたシコンの砦だった。
まず撤退とも交戦とも伝達のない状況下で、同胞の土地を攻撃する僅かな躊躇でもつかねば、いくら高地の利があるとはいえど、ウルケルの海軍を港から追い払うような真似、易くは成功しない。
そして、その混乱の起点となった砦に、捕らえられたでもないファミルの姿があるなら、私兵らの独断での裏切りでないこと、勘がよいものなら理解するだろう。]