― HR前・中三教室 ―
『おーい、エイミはん。
聞こえとるんやろ?
日没までさ契約しで、試練さ合格しで魔女さのれば、願いば叶える力さあんだのものになんだ。
あんさん、叶えたい願いありまへんの?』
…………。
[聞こえないフリをしてもしつこく謎の方言で話しかけてくるし、耳を塞いでも声が届くせいか、少女は席に着くなり無言で机に突っ伏し、ぐったりとしていた。]
[けれど、他のクラスメイトは全く気にしている様子がない。
見えても聞こえてもいないかのように。
少女にしか認識できない幻なのだろうか。]