[でかくなったなとしみじみするシモンに頷いた。]
うん、おかげさまで。
モーリッツじっちゃは去年腰を悪くして、ね。
それ以来、畑仕事はおれが一手に引き受けている。
シモン兄さんは村に戻ってきたばかりなのか。
だったら、宿屋名物の温泉に入るといいんじゃないかな。旅の疲れもきっと取れるだろう。
[近況を説明すると同時に、直接言及せずに治療効果がある温泉を勧める。
シモンが自ら説明しない限り、ケガの理由とか程度を聞くつもりはないと、言外に意思を込めた。
やがてシモンが辞去する言葉を口にすると、”またあとで。”と挨拶を返して、小さく手を振った。]