………うーん…
[どれがいい?と問われるも決められない。あれもこれも素敵だもの……と、一つの指輪を手にする。細い輪に小さな石が嵌り、その爪が花を模っていた。綺麗というよりは可愛らしいそしてシンプルなデザイン。]
これ……
[両手の上に大事そうに乗せて見せた時に、彼は何と言っただろうか。彼女の心にはこれ、と決まったようで。少しはにかんで彼を見上げる。手に乗るその重みが──とても小さいものであるのに──変わらない自分たちの約束のように感じられて。]
────……
[そっと左手を差し出せば意図が通じるだろうか。]