― 戦場西方 ―
[旗艦の背後を守らんと残った巡洋艦二隻のうち、一隻は甲板上に砲撃を受けており、どうにか消火を済ませたものの、その動きは既に緩慢だった。
死んだ者も数多い、怪我を負ったものは更に多い。
多いが戦いの意思が潰えることはなく、帝国艦隊の行方遮る意思を持ってナハティガルへと伝達を送る>>72
それは丁度、座礁した帝国戦艦が最後まで戦いを諦めなかった姿にも似て、それも軍人の矜持というものかも知れなかった。もう一隻、残った巡洋艦は傷を負った僚艦を庇うように僅か西方、舳先を異にして艦を並べている。
これも動く意志はなく、最後は己自身を以ってしてでも帝国艦隊を止めんということのようだった。]