>>96
マリエッタちゃん…
来て、くれたのね。
[別れたのはほんの少し前のことのはずなのに、酷く懐かしい。
逸る心を抑えきれず、地面を蹴って彼女の傍へ舞い降り。包み込むように小さな身体をふわりと抱きしめ、そのまま桜の絨毯の中へ倒れ込んだ。
指先で涙の痕をそっと辿り、その目元に光る雫に、吸い寄せられるように唇を寄せて――
――…異形の衝動が抑えられない自分に気付き、彼女からそっと身体を離した]
えぇ、私よ。カサンドラ。
…勝手で…ごめんね。
彼も欲張りだけれど、
私も相当、欲張りなのよねぇ…。
[いつからか、彼女もかけがえなく大切な存在になっていて。
どちらかをどうしても選べないままで、彼女の未来を奪おうとする。そんな自分の残酷さは、許されるものではないだろう。
けれどきっと、彼もこんな気持ちなのだろうな…と、苦笑した]