[『国王に反感を持つ者がやったとすれば、まず王宮に入れなければならない。
その際、入り込み易いのは実力重視とはいえど血統もものを言う文官よりは、実力のみで名を上げられる軍部だろう。
諸外国との繋がりを持つ人間が混ざり込んでいる危機を疑った参謀様は、それを伝え援助を得るべく、或いは外務長官様を僅かでも疑ってそこを訪ねた。』]
分からない事が寧ろ良い時もある。
そう、偽造文書くらいは望めば、
“同じ筆跡で全くの別人が作れる” 。
少なくとも、参謀様を翳した相手は、
外務長官様と通じていたか、
外務長官様が邪魔だから処分しに来た。
…そこに居合わせた不幸、とでも。
[へろりと述べた策を、暫し考えるような表情をしながら、奏上してみると相手は口にした。
別に、俺としてはどうなろうと知った事ではなかったが。]