[本当は憐れむ感情など持ち合わせていないにも関わらず、口先だけで呟く。
もし、世界に陸が無かったら?恐らく人間は滅びるか、少なくとも繁栄することはなかっただろう。偶然、そうならなかっただけで、今人間が繁栄しているのも偶然に過ぎない。]
――今の状況なら、むしろ人間の方が余程に生きているだけで罪深い。
[心の中で呟く。別段、エルナの考えを皮肉るわけではない。もとよりそのような感情自体持ち合わせていない。ただ、手持無沙汰にそんなことを考えていた。]
[外に出て、ニコラスか誰かに会えば挨拶くらい交わすだろうか。或いは、誰にも会わなければ程無くして宿の中へ戻っていくだろう。]