[それはやはり、突然のことだった。
>>0:13あの日と同じく唐突に、集落が襲われて。
襲撃者たちの統率の取れた動きに、どこかの部隊のものだとはすぐに分かった。
ならばこの者たちを指揮している長がいる、それを叩けば統率を崩せて被害を押さえられるだろう───その狙い自体は、想定通りに事が進んだ。
想定外だったのは、その長の姿が、見覚えは無いはず、けれど面影が]
…………いぇんす、くん…?
[あの日の、あの幼い彼と、重なるものだったから。
襲撃者の長なんて、刃を向けるに迷いなど抱いてはいけない最たる相手だというのに。
あの日と同じ、泣いてしまいそうな顔を向けてしまった。
向けられた刃と表情、そのどちらも私の知る彼であるならあり得ないはずなのに。
幸か不幸か、ほどなく撤退していったから対峙の時間自体は短いものだったけれど。
私の大切なあの人と重なる顔で、私の大切な場所を侵してきた彼を。
どうしても私は、許すことが出来ないまま。*]