[ 相手の射投攻撃の的を拡散させるに留まらぬその意図は、]
ティルカン側に、これなら突破できると思わせたい。
果敢に攻めてくるならば、軽く当たって逃げ、相手を分断してゆく。
用心して密集するなら、包囲する。
その裁量は、諸君の用兵にかかっている。
[ 政治的な説明は割愛したが、ティルカン連邦の独立機動性を逆手に取った策だった。
烏合の集と侮るつもりはないが、ブリュノーを失えば最前線となるリンデマンスと、極東の国兵の危機感は違って当然だろう。他の国よりも功をたてなければ、今後、議会での発言権に影響するといった柵もあると読んだ。
兵らの背後で抜刀して焚きつける恐怖専制的な将がいるならまた違うが、レトが寄越した情報によれば、連邦軍の総大将は若きガルニエ騎士団の長だそうである。各部隊の自由意志を尊重するのではないか。]