[丘陵を遠くに臨める高い塔の上。
険しい山岳地帯の一室で、互いに手を取り合い、何かを確かめ合うような姿があった。
─ 回顧/
鼻に付く、煤を伴った風が窓を叩き付ける。
そこで、良く似た見目の青年同士は、良く似た声で、全く同じ宣誓のような言葉を口にした。]
[この国の王子は皆、影武者を1人以上持つのが常識だった。
似た見目と年頃の子が、でき得る限りは幼い内に孤児から選ばれ、王子の代わりに生を落とすのが普通だった。
(孤児から選ぼうとするのは、親を口封じと称した “処分” の対象にしない為の措置である。
それでもなかったとは言えないが。)
ただ、王子も影武者も、全く同じように育てられるのだ。]