私は特に好きなものはないから、好きなものがあるならそれに任せる。
……ああでも、酸っぱいものは少し苦手。
[本当は凄く苦手なのだが。
知りたいという事を隠す為に、自分の好みも伝え、食事の傾向を纏める会話へとすり替える。
亜梨沙からの返事はあっただろうか]
京都らしいお昼、となると何だかお小遣いが一気に飛んでいってしまいそう。
[なんて言いながら、ふと京都と言えば、なあぶら取り紙で有名な店の紙袋を下げた人を駅構内で見かけて、玲緒はきょとと瞬きをした]
あのブランド、カフェもあるよね。一応、候補に入れておこう。
あとは……
[スマホを取り出して目的地周辺に何かないかと探してみれば、神社境内の休憩処や、近くにみたらし団子発祥のお店があるとか、そういうのがヒットした]
甘いものは好きだけど、これをお昼と言ったら叱られるかな。
[難しいと呟いて、前髪がわずかにかかる眉を寄せた]