……どうせもう海を持ってるんだし、くれないかなあ…[地図を眺めながらボヤいた相手は、今や軍司令官だ。マルール王国は海洋交易国家だ。もう存分に海を持っているのだから、こっちにも海をくれても良いのじゃないか───…そんな虫のいい願望は、しかし彼の返事を聞くより前にため息と共に振り落とした。ない。かの国がこの好機とブリュノーを見逃すはずがなかったし、どうせ王国に連なる王妃とやらはマルール王国に援けを求めてしまうのだろう。そんな諦めにも似た予想は、すぐに当たることとなる。]