― 開戦 ―
[ ゼファーの兵士は、常に決死の覚悟で戦に臨む。そうでなければ、倍する以上の敵と互角に戦うことなどできるはずもないからだ。
けれど、彼らとて死にたいわけではない。生きるために命を捨てる、その覚悟を持て、と、幼い頃から教えられ、育てられた結実が、男の目の前の軍勢だった。 ]
我らは生来の戦士である!
戦神は、我らが剣と槍に宿っている!
戦場が我らの日常だ。進め!
[ クレメンスの合図に従って無言で立ち上がり、前を示して腕を伸ばした「元首」の動きに合わせ、男が号令を発すると、全軍が前進を始める。
号令までの流れの自然さの「不自然さ」については、深く考える兵もいなかった。* ]