―エピローグ・夢の終わりに―[ベルティルデと並んで、祭に賑わう門前町を歩いていると、母の生前、祭に連れていってもらったことを思い出す。人混みの中を歩いているうちに、どうしてか、悲しくて寂しくて胸が押し潰されそうに痛い。足を止め、縋りつくように母の手を握った]『どうしたの――?』[困ったように笑う母に理由を尋ねられても、自分でも、どうしてか分からなくて。ただ嗚咽をあげ、かぶりを振ることしか出来ぬままでいた]