―自室―
[自室の扉を開ければ、…さすがに個室まで捜索の手は及んでいないのか、及ばなかったのか、以前に青年が持ち出してそのままにしている例の本が机の上に置かれたままになっていた。
手早くそれを天井板の隙間へと仕舞い込めば、一息。
暫く――青年がここへ寝泊りしている間は、一時ここへ訪れたくらいでは見つかりはしないだろう。
本の中へ書かれていた記述>>70>>78を読まれて、ここに居るとは限らないにしろ…名乗り出るよう呼びかけられたりなどすれば面倒だと、思ったから。]
[ひと段落。
――…そういえば、と辺りを見渡せば、昨日の出来事など起こらなかったかのように何の痕跡も残っていなかった。
汚すな>>3:218と言い残したのだから、当然といえば当然だったかもしれない。唯一無二の同胞は…そういう男なのだから。
――…しかし、]