[フィオン>>95の手が頭にそっと触れる。
どうして皆、優しくしてくれるのだろう。
力になりたくて、頼って欲しくて、けれどその力がない。
頭に浮かぶのは二人の姿。涙を堪えるように、眉根を下げた。]
――もし。
[今は笑うべき時だ。
それなのに、上手く表情が作れない。
恋人がいない人にアーヴァインがどんなことをするのか、想像しただけで身体が震えた。]
もし、皆さんへの挨拶が終わって時間があったら。
約束していた絵を、見せてくださいますか?
[出来るだけ、彼に救いの道を残したくて。
一歩、距離を取る。
どうか彼に、手を繋いでくれる人ができますようにと。
――恋を引きずったままの自分では、彼の手を取る資格がなかったから。]