― 西門付近 ―
[呼びかけに返る声はなく。
もう一度、呼びかけようとするより先に黒い霧は薄れ]
なにっ……!?
[後に残るのは、主を失い戸惑う葦毛の馬一頭。>>89
とっさに周囲を見回すものの、騎士の姿はなく]
てめぇ、一体、何しやがった!
[とっさに視線を向けるのは妖術師の方。
鋭い視線と声を、妖術師は嫌らしい笑みで受け止めた]
「愚か者に相応しい役割を与えてやったまでよ」
……は、どの口が言いやがる。
[余裕綽々と言った風の妖術師に向けて吐き捨てつつ、落ち着きをかいた葦毛の首筋を叩いて落ち着かせる。
これからどうするか、と思案を巡らせていると、門の方へ向けて目立つ物が運ばれて行った]