[実際に、雷華が花精を気に留めたかどうかは判らない。ただ視線が偶然に過っただけだったかもしれぬ。だが、強大にして苛烈なその存在を感じただけで、花精は耐え切れず、身を翻した][やがて『永き冬の時代』が終わりを告げ、かろうじて消滅を免れた花精は、再び蓮花を咲かせ、白き冬に飽いた者達から、多くの祈りと願いを集めて力と為し、ついには神格を得て花神となった][今はもう遠く遥かな白い闇の中、唯一見た赤灼の記憶だけは、花神の内に焼き付けられている*]