いつまでも、逃げてられると思わないでちょうだい。
[相手の体力も無限ではないだろうが、自身もまた、特殊能力に頼った飛行を延々と続けられる訳ではない。
眼の前に枝の疎らな空間が広がった瞬間、少女は動く]
はっ!
[鎌の柄を左手に持ち替え、分銅を斜め上の枝へ向け投げる。
鎖が絡みつくのを確認すると、後翅による加速を止め、両手で鎖を握り締めた。
枝を支点にした振り子運動が、前進を上向きの運動に変え、少女の体を木々の上向け打ち上げる。
枝葉を蹴り散らす派手な音は、相手の所へも届いたか。
鎌を手に眼下を見据えながら、少女は放物線に身を任せた**]