[ 『エレオノーレ』と呼びかけ、近づいてきた気配>>75
それが誰のものかなど、視線を向けなくても理解できる。
けれど、どう反応すれば良いのだろう
懐かしいと微笑めば良いのか、それとも敵だと剣を向ければ良いのか。
相応しい言葉すら見つけられない自分は
糸のような視線を一瞬そちらに向けた後、また村へと戻そうとして]
………―――
[ 視線を捕らえたのは、全てを染めるような黒
夜を思わせる射干玉色の翼。
わからないわけがない。覚えている。
それは目の前の相手に限ったことではなく
救いを求めるような視線を投げかけた
あの子のことも、覚えているけれど]