[現れたのは、やはりというか予想通りの相手だった。
女連れとまでは予想していなかったが、
そういえばドロシーの隣にいた女だな、とちらりと視線を向けたが、特に問いただしはしなかった。
相手の大げさなため息には取り合わず、この後を聞かれて薄い笑みを浮かべる。]
帝都に戻るとも。
あそこには、私に必要なものがある。
そのあとのことは、知らないが。
[わざわざそこまで教えてやらずとも、と思いはしたが、なぜか答えていた。
なんとなく、いらない胸の内まで見せたくなる。
そんな雰囲気が、この男が魔法使いの首領に収まっている理由の一つなのだろう。
他の連中が命を預けても構わないと思うほどの人間だ。
希有な存在だなと、思う。]