― ゾネス要塞 ―
[ゾネスに帰還した直後は、反発勢力がかなり強く、あわや一発触発の事態に陥りそうになったが、フェリクス王子からの正式な任命であると威を借り、国防が優先だと力説すれば、不満は噴出するものの、なんとか抑え込むことができた]
わたしはあくまで、総督の代理だ。
組織の正式な権限は今、フェリクス殿下の手にある。>>60
しかし、ゾネスは女の砦。いずれ王都の混乱が平定し、次の国王が定まれば、改めて沙汰は下されるだろう。
アイリ総督亡き今、北の防衛は我らの手に掛かっている。どうか、心してかかって欲しい。
[といって、そもそもアイリ総督に手を下したのは自分だが。そこで論戦を展開したら、収まるものも収まらない。言いたい事は互いに我慢しながら数日を経て、ようやく組織として機能する準備が整い始めた。
そんな折、ゾネス要塞に王都からの使者が訪れる。リーゼロッテ・チェンバレンだ。>>70]