帰らないと。[ 疲れ果てた身体に鞭打つように、立ち上がる。服の上からは判らぬ場所にある魔印の焼けただれた痕が、ずきずきと痛むが、構ってはいられなかった ]魔軍の追撃が来る...負傷者や、女子供は一人でも多く、王都へ逃がす。[ 護りの要であった砦を魔兵器に灼かれた......それは、隣国が魔王によって滅ぼされた、その手順の再現めいている。これが伝われば恐らく、王都は、程なくして、恐慌のるつぼに陥るだろうと思われた ]