―― ゾフィヤ、少し離れていてくれるか。[そう言って、懐から聖水を取り出してフィオンの周囲に撒いた。彼の身体を護るように。浄化と祈りの言葉を呟きながら、胸から下げていた金貨をプツリと外した。掌に握りこんだその金貨を見つめるゲオルグの表情に、一瞬迷いの色が浮かぶ。洗礼者の証たる聖なる金貨。これは回復魔法の媒体となっているが――本来の使途を知っているのは、教会でもごく一握りだけ。]