[ああ、でも――何時も女の子(時々ヨアヒム)に誉め言葉をばらまく彼の推理を聞いて己ははっとした顔をした>>95] ……鍵をかけていなかった 確かに。ドアをけ破ったような痕跡はなかった 夜遅くに開けるとしたら 知り合い。親しい人間ならば…… だが。この村全員粗知り合いみたいなもんだ 外れるのはニコラスか、アルビン位ではなかろうか と、思うんだが[薄々は分っていたが。矢張り親しい人間の中に狼はいる―――のだろうそのことに一層、眉根を寄せた*]