[一見花びらのように見えるその細かい霧は空気中に舞い、
やがて寝台の上に振り集まって、一人の少年の姿を形作る。
古来から吸血鬼、吸血種と呼ばれる類の者共は、
時に人の姿からまったく別のものに身を変化するという]
はぁっ……、 まだやるのか?
やるなら 此処で、 ――踊ろうよ
[十年ほど前のその姿、この城に連れてこられるより前。
自ら齢十六歳のソマリは破れた軍服を身に包み、
まだぱっくりと開いたままの傷口を背に咲かせてシーツを踏んだ。
剥げかけたシーツを引き上げて身に纏わらせ、
唇には半円をくっきりと刻んでいた。
あの飼われていた時と何が違うというのなら、
自らに吸血種だと自覚があるという事と、
女として育てられたが故に――去勢された筈のペニスが
今はきちんと生えているということだが]