人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


舞踊家 ソマリ

[一見花びらのように見えるその細かい霧は空気中に舞い、
やがて寝台の上に振り集まって、一人の少年の姿を形作る。

古来から吸血鬼、吸血種と呼ばれる類の者共は、
時に人の姿からまったく別のものに身を変化するという]

  はぁっ……、 まだやるのか?
  やるなら 此処で、 ――踊ろうよ

[十年ほど前のその姿、この城に連れてこられるより前。
自ら齢十六歳のソマリは破れた軍服を身に包み、
まだぱっくりと開いたままの傷口を背に咲かせてシーツを踏んだ。

剥げかけたシーツを引き上げて身に纏わらせ、
唇には半円をくっきりと刻んでいた。

あの飼われていた時と何が違うというのなら、
自らに吸血種だと自覚があるという事と、
女として育てられたが故に――去勢された筈のペニスが
今はきちんと生えているということだが]

(97) 2013/10/01(Tue) 22:48:17

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