ージャンプ・インの後ー
[ドクン、ドクン。
男が気を失っている間に聞こえてくる、男以外の鼓動の音。
80年近く、”こいつ”が目覚める度に耳にして来た。
いっそ、このまま死なせてくれ。
何度そう考えて来た事か。
”こいつ”に利用される形で生かされて、自ら死のうとする事が出来ないと分かっていても
”こいつ”を道連れに死んでやるという気持ちは消える事はない。
男に寄生した上で餌にして、獲物が定まればその人物の感情を煽って
退屈凌ぎの遊び感覚で俺と争わせようとする。
相手が負ければ、その人物自身か大事な人の魂……命を刈り取る。
男の生力を吸収しているのに、男に寄生して更に他の人物からも奪い取る。
嘗ての地球で死を司る存在として知られていたらしいもののに似た特徴を持つこの寄生生物は、生かしておくべき存在ではない。
自分も、とっくの昔に死んでいる筈の存在なのだ。]