はい。データはそう言っています。
[これまでの発言内容や、表情。
ため息をつく様子から、右から三番目の感情と予想。
5年の間に同種の表情を浮かべてみる。
トールと話しているうちに、少しずつだが人と話す時の表情変化というものを、CC-011は呼び出し戻していた。]
はい、肯定します。
アデル・スコグカットは以前、この惑星に滞在していました。
…。アデル・スコグカットは現在、彼女の自室にいます。
伝言を承りました。
…。はい。承知しました。
[CC-011は人の為に動くように作られている。
食器の片付けといった作業は自分の作業領域ではあるが、下げておく、とトールに意志を明示されたなら、承諾する以外の選択肢は存在しなかった。
先ほどの指示を実行するために、自らも立ち上がる。]
…死去の場合、マスターを起こすことが出来るか、ですか。
答えはノー、です。
マスター登録の変更がされるまで、
ワタシのマスターはアングラメル博士のままです。
マスター登録が変更されると、命令の初期化が行われます。
もっとも、アングラメル博士が死亡していた場合。
起こすことは、不可能ですね。
…。移動を開始します。
[少しだけ茶目っ気めいた言葉を口にして、背中を向けた。
声がかからなければそのまま、食堂を後にするだろう。]