[獣の標的が、自分の方へ向けば。振り翳される鋭い爪。>>90。それは、左右どちらだったろう。咄嗟に、タンっと、床を左斜めに蹴って、爪先を躱そうとしながら。逆に、前脚を上げたことで開いたその懐を目がけ、斜めに跳び込む。] ―――…っ![とはいえ、獣の体躯と俊敏さに乗ったスピードを、全て躱しきれはせず。眼前横を閃いた爪が、右肩を掠め。肩に掛かる髪ごと、ざくっと裂かれた右上腕。真っ赤な血飛沫が飛び、幾筋かの髪が はらりと散る。一瞬 奔った激痛を堪え。]