"ただ、目の前の患者を…大切な友人を、"
"救いたかっただけだったのにな…"
"どうして、こんなことになっちまったんだろうな…"
[その呟きは、彼の心の底からの言葉だった。
酷くくたびれたように、俯いて、言葉をこぼすカークに、ペチンと軽く頭を叩き、ぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。]
貴方の悲しみや、苦しみは、……僕は想像することしか出来ません。
きっと、想像でなんて、到底そんなものじゃないんだろうけど。でも……。
……でも、……この船で見た貴方は、……人のために駆けずり回って、人もために怒って、泣いて。
僕は、過去がどうであっても、とびきり優しい貴方しか知らないんですよ……。
[きっと、それが彼の本質だ。全部、全部、自分でしょい込む。
へらりと笑う、あの笑顔の下に、ぎゅうぎゅうと、押し殺してしまうのだ。
それが、当たり前で、ごくごく自然なことのように。
そして、誰かに責められるのを待っている。
自分は、それだけのことをしたのだから、と。]