[カサンドラの前では言えなかった。愛しい人を思って微笑む彼女があまりに綺麗で。淋しいから、一緒にいたいからといってあの笑顔を曇らせて良い理由になりはしない。]
[彼女が幸せになったのだ。何を悲しむことがある。
彼女の心の片隅に、ほんの少しでも自分の存在が在ることを願って
いまは気が済むまで泣こう、そう思った瞬間。]
桜…!?
どこから…っ…??…わぁあっ!!!
[フワリ、と桜の花弁が舞い降りてきたかと思うと、思わず目を閉じてしまうほどの風が吹いた。まるで自分が風を纏って居るかのような感覚。やがて、風は止み、空気が穏やかに変わる。
そっと目をあけて、そこに在る景色に、これは幻だと思った。]
…カサンドラさん…??
[幻でもよかった。その姿に会えたことが嬉しかった。]