[女性を追跡する羆は、獲物が止まったと見て身を低く伏せ、襲撃の機を計る。少し距離があるが、黒い魔獣の脚ならば何程のものでもない。伏せてはいても巨体が完全に隠れることはないだろう。誰かと目が合うか、大きい声を出されるか。なんらかの契機に羆は巨体を弾ませて廊下を駆ける。短い距離を瞬きひとつのうちに零に変え、黒き獣は人間の女に襲い掛かった。**]