[マーティン・バウマンは強面だが、その見た目に反して面倒見のいい教師だった。
非常勤のシロウよりも捕まりやすくはあるが、生徒からの人気が高かった故に鍛錬の相手を願い出るのは少し気が引けて。
それでも学館に身を置く間に何度か稽古をつけて貰ったが、彼の受け持つ授業とそうした稽古の時間で彼と言葉を交わす事はなかった。
シロウ・マッキントッシュは軍の開発部に身を置いているという事もあり、姿を見かければ話掛けに行った。
剣の稽古や、兵の動かし方。
そんな事を熱心に聞く己を彼がどう思っていたか、知る術は絶たれてしまったけれど。
ひっそりと師として仰いでいた。
――それでも学館を離れた後に彼を訪う事はなかったが。]