― 宿のレストラン ―
[…は宿の扉を開けた。そこにはたくさんの人が集まり、不安などなかったように、ワインを開けて楽しんでいた。その空気に…はホッする。中を見渡すと、目的の人物を見つけ、…は傍へ行った。]
マリエッタ!
[ユーリエやラヴィも一緒にいる。…は不安げだった表情に笑顔を浮かべる。]
ねえねえ、マリエッタ。
聞いてほしいことがあるんだ。
[…はその瞳を真っ直ぐに彼女へ向けた。青い瞳の奥がじわりと潤む。涙を流してはいない。口元は微笑んでいる。それなのに、その表情はどこか泣きそうに見えた。]
俺、君のことが好きなんだ
だから、君には生きていてほしい…。
もし、明日俺が狼に食べられてしまったら、この想いは消えてしまう…そう思ったら伝えなきゃって思って…。
…もし、俺が俺じゃなくなっても、君に覚えていてほしい…。
[…は秘めた想いをマリエッタに伝えた。どこに行ってしまうか分からない想いは、誰かに覚えていてもらえばいい。
…はそれだけ伝えると、その場を離れた。]