― 新幹線下車 ―
[降ろした旅行鞄を肩に掛け、当然のように徹する荷物持ち。
二人分の加重を苦もなく支える恵まれた体格。
どうせ、下車程なくしてホテルへ先送りになるとしても、妹の双肩を労わらぬ男ではなかった。>>#0]
荷物を預けたら、昼食でも摂りに行くか。
琉璃。蕎麦とうどん、どっちの口だ。
それとも、別のものが良いか?
嵐山地区に足を伸ばすんだ、選択肢は多いぞ。
[早々新幹線を下りて、京都駅の改札を並んで抜ける。
駅構内の雑踏を躱して、彼女の隣を陣取るのもいつものこと。
そうして、自主性を重んじる教師陣に荷物を任せ、最低限の装備を遺して旅行鞄と別れを告げた。兄は男子生徒らしく軽装だ。]