― 回想・黒剣虎と ―
[ここまでの長い長い道のりで、魔王軍の中核メンバーとは嫌でも顔見知りになっていた。
中でも黒い魔獣には幾度も遭遇して、そのたびに危うい目を見てきた。
あれはまだ、聖剣が光取り戻していない頃だったか。
黒い魔獣の爪と牙の前に皆傷つき倒れそうになっていた時だ。]
吾の勇者に手を出す奴には、こうなのじゃ!
[豊かに下草の生える場所だったのが幸いした。
神樹の巫女の呼びかけに、周囲の植物が絡まりあって壁となり、魔獣に雪崩れ落ちそうなほどに伸び上がる。
その間に、勇者一行は行方をくらませたのだった。*]