[やがて巨岩から聖剣が抜け、水面に小さな水飛沫が上がる。深い湖の底へと沈み行く聖剣に、男は焦燥の色を濃くした。直後、鳴り響く轟音。巨岩が真っ二つに裂け、辺りが黒い瘴気に包まれた] くっ………![水面を伝い地面へと辿り着く瘴気に男は顔を歪める。身を引こうにも手負いの身体の動きは鈍い。じり、と膝をついたままようやく一歩ずり下がったところで、瘴気を割る人影が視界に入った>>54]