― まどろみ ―
[ソマリアランに連れられ、辿り着いたのはヤコブの傍。
瞳からは未だ雫が零れ落ち、連れ出された混乱から拭うのもままならない。
濡れた瞳のまま幼馴染を見上げた]
……ヤコブ…──
[名前は呼べた。
けれどその先がなかなか続かない。
ご苦労様と言うには彼がここに来てしまったことが衝撃的過ぎたし、無茶をしてと責めるのも何か違う。
それに先程のソマリアランの言葉──。
幼馴染は、ヤコブは死んでいないのではないだろうか。
沈黙の間に思考は巡るも、上手く纏まらなくて結局言葉を紡ぎ損ねていた]