[突然の心境の変化に対する反応は様々で、そのどれにもへらりと笑みを返し。理由を聞かれれば、大富豪になる夢を思い出したから、なんて恍けたことを告げるだろう。
今日か、明日か。いつとも知れぬその時を
ただぼんやりと過ごすなんて性に合っていない。
余命いくばく、かつ既に感染しているかもしれないこの身体が当局でどんな仕打ちを受けるか解らないが、不思議とこの島に来てからすこぶる体調が良くて、何故かまったく死ぬ気がしない。
あるかどうかわからない天国で、ゾフィヤが呆れている気がしたが、きっと気のせいだろう。
それぞれの遺体を埋葬し終え、迎えを待つ間。
展望台でひとり、最後の一服を楽しむ。
短い期間に、色んな人との出会いと辛い別れがあった。
いいことも、嫌な事もたくさんあったが後悔はしていない。
海の絶える島、思い出を湛えた島。
想いを断たれた島は今、
――想いを遂げた島に変わった]**