[>>91真顔の怪我人は、自分が差し出した左腕より首筋がいいと言う。男は僅かに褐色の目を瞬かせた後に。]……ったく、仕方ねぇな。[そっと息をつくと被っていたフードを下ろし、肩を隠す自分の銀の髪を右側に流す。見えぬ左側を空けたのは、牙が近づく瞬間を目に収めたくないから。あの血親にしてこの子ありか、などと失礼な感想を抱きつつ。]これでいいか?[カモフラージュに左目は閉じる。]