― 東屋 ―
[────、は。と、息が落ちた。
人の気配の薄い東屋、ここはロロンドが以前良く絵を描いていた場所>>84
幼い日に、良く遊び場にしていた場所のひとつだ。
その東屋に置かれた椅子に腰かけて、ウェルシュは大きく息をついていた。
人の気配は遠い…が、ないわけでは決してない。
あれ以来、ウェルシュの周囲には必ず警護の者が配されてある。兄の身の回りも同様だろうかとは思えど、兄のこと。自分と同じということはないであろうか。
それでも東屋は今は静かで、開けた空には鳥の声が響く。
白い鷹は飛んでいないか。そんな、習慣じみた仕草で空を見上げた。
小鳥が軽やかにさえずっている。]